人工知能で女性の病気を発見
先日、ニュースで【人工知能 病名突き止め患者の命救う 国内初か】と、いうニュースがありました。
東京大学医科学研究所が導入した2000万件もの医学論文を学習した人工知能が、専門の医師でも診断が難しい特殊な白血病を僅か10分ほどで見抜き、治療法を変えるよう提案した結果、60代の女性患者の命が救われたことが分かりました。人工知能は、このほかにも医師では診断が難しかった2人のがん患者の病名を突き止めるなど合わせて41人の患者の治療に役立つ情報を提供していて、専門家は「人工知能が人の命を救った国内初のケースだと思う」と話しています。
引用元:NHKニュース
人工知能によって未来が楽しくなりそうです。
お伝えすること
人工知能がどうやって女性の病気を発見できたのか
人工知能の名前はワトソン(Watson)
引用元:gigazine.net
このワトソンは、2011年2月16日に、米国の人気クイズ番組「Jeopardy!」に出場して、クイズ王ジェニングス氏、325万5102ドルを獲得した賞金王ラター氏に勝利したことで一躍知られるようになりました。
今回のニュースによると、200万件以上のがん研究の論文を学習して、診断が極めて難しい治療法もインプットされているので、白血病やがんの診断に役立つ臨床研究が進んでいます。
東京大学医科学研究所の附属病院と、IBM(アメリカのIT企業)が協同して研究されています。
病名が発見されたのは、60代の女性です。
当初、急性骨髄性白血病と診断されて2種類の抗がん剤治療を数ヶ月受けていました。
ところが、意識障害が起きるなど原因も不明でした。
ワトソンで1500以上の遺伝子データを分析するとわずが10分ほどで、女性が「STAG2」と呼ばれる遺伝子の変化が根本の原因である、二次性白血病という別のがんと見抜き、適切な抗がん剤の種類を変えるように提案したそうです。
女性は無事に2015年9月に退院しました。
研究を行った東京大学医科学研究所の宮野悟教授は
1人の医師がすべての膨大な医療情報を把握するには限界があり、情報を蓄積してみずから学習する人工知能の活用は医療の世界を変える可能性を秘めている
人工知能が人の命を救った国内初のケースと言ってもいい。人工知能にとって医療やヘルスケアの分野は最も実用化が進む大きな市場になると予想され、今後も導入が進んでいくだろう
2人からこういうコメントが出ています。
今回治療をうけた
山下あや子さん(66)は、
「あと1年ほどすればこの世からいなくなると覚悟した時期もありました。ロボットやコンピューターの研究は成果を上げるのに年数を要するもので、こんなに急激に役に立つなんて思いもよらず、今生活できているのも人工知能のおかげです」
と、コメントしています。
急性骨髄性白血病とは
白血病は、造血幹細胞から血液細胞(白血球、赤血球、血小板)へと成熟する途中の細胞ががん化します。白血病は、がん化した細胞が、もし成熟したら「何」になっていたか?によって分類されます。白血球の中には主にウイルスを攻撃する「リンパ球」があります。成熟したら「リンパ球」になるであろう細胞ががん化した場合が急性リンパ性白血病です。
そして、それ以外の細胞、つまり、リンパ球以外の白血球、赤血球、血小板になる予定である細胞ががん化した場合、急性骨髄性白血病(Acute Myelold Leukemia:AML(エーエムエル))となります。
引用元:急性骨髄性白血病(AML)を学ぶ
二次性白血病とは
二次性白血病には,治療として行われた放射線治療,化学療法に誘発されたと見なおされる白血病と,先行する疾患の自然経過として発症した白血病が含まれる.いずれも白血病発症機序の解明に多くの示唆を与える病態である。
引用元:J-STAGE
人工知能が医療分野で活躍中
今回のワトソンは遺伝子の変化が複雑に絡みあって発症する白血病や血液がんの分析を研究対象にしています。